余命38日、きみに明日をあげる。
「おいっ、何とか言えよ!」
強いくせに、されるがままのトーヤが俺をあざ笑っているように感じ、苛立ちが倍増する。
「知らない。本当だ」
「んなの信用できるかよっ! 願いが3つあるって知ってる時点でわかってんだろ!?」
「どうした。落ち着け」
「このままだったら、莉緒は、莉緒はっ……」
思い切り胸倉を引っ張った後、そこに力なく頭をつけた。
拒むことのないトーヤの胸で、目を閉じ項垂れる。
もう、どうすればいいんだ……。
自分の無力を思い知る。
俺が医者を目指したところで、17歳の俺には間に合わない。莉緒を助けることはできない。
結局、俺は莉緒のためになにも……。
「だから言っているだろう。願いを叶えれば、延命できると」
グッ、とまた俺は頭を上げた。
「んなの出来っかよ! やっとひとつ願いが叶ったんだぞ? 残り13日であとふたつの願いなんて叶えられるかっ!」