余命38日、きみに明日をあげる。
病院に運ばれたのは、隣の家に住む同い年の幼なじみ、倉木莉緒。
生まれつき心臓の病気を患っており、発作で救急搬送されたことが今までにもある。だから、救急車の音には敏感だ。
向かう病院は分かっている。
俺は、救急車のあとを追うように自転車を飛ばした。
俺が来たところで、何が出来るわけでもない。
それでも、そばに居られずにはいられない。
『私、ハタチまで生きられないんだって』
莉緒からそう言われたのは、中学に入ったころだった。
莉緒は何度か心臓の手術を受けているが、最終的には、心臓移植しか助かる道はないらしい。
けれど、心臓移植なんてそう簡単にできるわけがない。
たくさんの人がドナーを待っている現状で、莉緒が優先的に移植を受けられるわけもなく。
ただ待つだけの日々。莉緒の心臓が絶えるのが先か、ドナーが現れるのが先か……。