余命38日、きみに明日をあげる。

それらに適当に返事をしながら教室までたどり着くと。

「なに? 寝不足?」
 
俺の顔を見るなり、的を射た言葉を向けてきたのは、山本(やまもと)陸乃進(りくのしん)

クラスで一番気を許せるダチだ。見た目はチャラいが、バスケ部の部長で意外としっかりしているところもある3兄弟の長男坊。

今日も、ワックスで無造作にセットした髪がバッチリ決まっている。

「んー、まあな」

「まさか一晩中!? 毎日毎日お盛んなことで」

「アホ」
 
何を想像しているんだか。
 
軽いっつーかなんていうか。脳内花畑って、陸乃進みたいなやつのことを言うんだろうな。
 
人差し指で頭を小突くと、陸乃進は大げさに「いてっ」と身を縮めた。

「で、莉緒ちゃんは? 休み?」

そして、いつも一緒に登校する莉緒が姿を見せないからか、ぐるりと教室を見渡す。

「休みだけど、お前が想像してるような理由じゃないからな」

「ふーん」
< 20 / 288 >

この作品をシェア

pagetop