余命38日、きみに明日をあげる。
それらに適当に返事をしながら教室までたどり着くと。
「なに? 寝不足?」
俺の顔を見るなり、的を射た言葉を向けてきたのは、山本陸乃進。
クラスで一番気を許せるダチだ。見た目はチャラいが、バスケ部の部長で意外としっかりしているところもある3兄弟の長男坊。
今日も、ワックスで無造作にセットした髪がバッチリ決まっている。
「んー、まあな」
「まさか一晩中!? 毎日毎日お盛んなことで」
「アホ」
何を想像しているんだか。
軽いっつーかなんていうか。脳内花畑って、陸乃進みたいなやつのことを言うんだろうな。
人差し指で頭を小突くと、陸乃進は大げさに「いてっ」と身を縮めた。
「で、莉緒ちゃんは? 休み?」
そして、いつも一緒に登校する莉緒が姿を見せないからか、ぐるりと教室を見渡す。
「休みだけど、お前が想像してるような理由じゃないからな」
「ふーん」