余命38日、きみに明日をあげる。
***

次の日。

学校に救急車が来て莉緒が運ばれた話は、もう校内でうわさになっていた。

俺が一緒に救急車に乗り込んで行ったことも。

昇降口に入った瞬間から、会うやつ会うやつに聞かれた。

「倉木さん大丈夫なの?」って問いに「ああ、大丈夫」って、本当は大丈夫じゃないくせにそう答えざるを得ない苦しい胸中を隠しながら。

そして、こいつも。

「おい! 莉緒ちゃん大丈夫なのかよっ! メッセージしたのにフル無視だ
し」

教室に入るなり、陸乃進に詰め寄られた。

着信、そしてメッセージも来ていたが、返す余裕がなかった。

「悪い悪い」

まとわりついてくる陸乃進を交わしながら、俺は自分の席に向かいカバンを置い
た。

莉緒の席に目をやったのは無意識だった。

莉緒がいない。

そんなことわかっているはずなのに、空席のそこを見れば胸がギシギシ痛んだ。

莉緒の悲痛な声がよみがえる……。
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