余命38日、きみに明日をあげる。

もちろん、椎名の告白を断ったのを、莉緒が星野に責められたからではない。

椎名には悪いが、莉緒の願いを叶えるためだ。

『歩美ちゃんとつき合ったらいいのに』

今まで、誰に何度告白されてもそんなこと言わなかった。

『そんなに、椎名とつき合ってほしいのか……? それが、莉緒の願いなのか?』

『……うん』

莉緒は自分でそう言ったのだ。

莉緒の望みだとしてもそれだけは無理だと思っていたが、やはりこの状況ではそんなこと言ってられなくなった。

莉緒が口にした願いは、片っ端から叶えていかなければ。

「莉緒が大変な時に何言ってんの!? 正気?」

水野は涙を止めて、目を剥いた。

「だからだよ」

「なにそれ。意味わかんないんだけどっ」

「俺のところに死の神が来たんだ。莉緒が死ぬまでにやりたいこと3つを叶えたら、延命してやるって」

誰に言っても信じてもらえないのはわかる。でも、事実だから仕方ない。
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