余命38日、きみに明日をあげる。

「莉緒のこと、好きでたまらないくせに……っ」

ぱしん。

今度は軽く腕をはたかれた。

俺の気持ちは、水野にまで丸見えなのか。

「好きでもない人とつき合うなんて正義に反すること、莉緒が望むわけないじゃん……」

……違うのか?

莉緒の望みは、俺が椎名とつき合うことじゃないのか?

「佐久間は……莉緒をずっと好きなままの佐久間でいてよ……」

俺は賭けに出ることも赦されないのか……?

「だったら、俺はどうすればいいんだよ……」

誰か教えてくれよ。

途方もない俺のつぶやきは、白い息とともに、空に消えた。
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