余命38日、きみに明日をあげる。

俺はポケットの中から、しわしわになったそれを取り出した。

「なんだ、持ってるんじゃないか」
 
少しほっとしたような表情でそれを奪い開いた川崎の顔は、秒で鬼の形相に変わる。

「検討中だとお!? 学年トップのお前が、検討中なんてふざけた話があるか! 真面目に考えてるのか」

「真面目に考えてるから検討中なんですよ」
 
こともあろうか、げんこつを俺に向けてきた。が、それは空を切っただけだった。
 
殴ってくれた方が体罰で訴えられたのにな、なんてしょうもないことを思う。

「お前は(ひがし)高始まって以来の秀才なんだぞ? 国立や有名私大に合格してみろ。学校は横断幕を掲げてお前を祝福するぞ。東高の知名度も一気にあがる。そしたらお前は、学校の発展に多大なる功績を残すことになるんだ。みんな佐久間に期待している、な?」
 
そんな、学校の未来を背負わされても。
 
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