余命38日、きみに明日をあげる。

***

夜更け。トーヤがやって来た。

昨日、あんな別れ方をしたから正直気まずい。

なんて声をかければいいのか迷っていると、トーヤの方から口を開いた。

「薄くなっている」

昨日のことなんてなかったかのように、淡々と。

「え?」

一瞬なんのことかわからなかったが、すぐに理解した。

きっと、リストに書かれた莉緒の名前のことだろう。

莉緒の願いが叶ったのか?

でもどうしてだ? 昨日の今日だ。

莉緒の願いが叶うようなことなんて何も起きなかったのに。

「これでふたつの願いが叶ったようだな。残りはあとひとつだ」

「おおおおおい、待てよ。いつの間に莉緒の願いが叶ったんだ?」

面食らう俺を置いてきぼりにしていくトーヤに待ったをかける。

それは、俺が知らない間に叶ったということなのだろうか。

俺が協力せずに、自然に叶う願いだったのだろうか。

いや、トーヤは最初に俺にしか叶えてやれない願いだと言っていた。
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