余命38日、きみに明日をあげる。

声に出した願い


入院生活は退屈だった。

子どもの頃よりも、今の方が退屈だと思うのは、外の世界に楽しいことが沢山あると知ったからだと思う。

琉生と歩く通学路、一花と過ごす教室……。

本を読んでばかりいると疲れるし、テレビも面白くないし、スマホの動画も見飽きてしまった。

やっぱり、誰かと話しているのが一番いい……。

「莉緒ちゃん、一緒にクリスマスツリーを見に行かない?」

看護師の松田さんにそう誘われたのは、お昼ご飯を食べたあとの退屈な時間だった。

動いてないから眠くないし、うっかり寝てしまうと今度は夜が眠れなくなる。

夜は長いから、眠れなくなると地獄なのだ。

私は二つ返事で、ベッドを降りた。

連れていかれたのは、小児病棟のプレイルーム。

部屋の中央には、とても大きなクリスマスツリーが飾られていた。

緑色のもみの木に、サンタさんやプレゼントのオーナメント。

色とりどりの電飾もピカピカ光っている。
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