余命38日、きみに明日をあげる。

「サンタさん、持ってきてくれるといいね」

「うん!! だからみちる、苦いお薬も頑張って飲んでるよー」 

私も小さいときは、ここのクリスマスツリーに短冊を飾っていた。

病気を治してくださいって書いたら、七夕じゃないんだからそれはちがうよって言われたっけ。

欲しいものを書くんだよって言われたけど、やっぱりほしいものは健康な体だった。

他の子みたいに走れる体が欲しかった。

今考えれば、夢のない子どもだったかもしれないけれど。

でも、どんなおもちゃよりも、私は魅力的に感じていたんだ。今もそれは変わらない。

「おねえちゃんにもサンタさんくる―?」

くるくると動く無邪気な瞳が私をのぞき込む。

「うーんどうかなあ」

サンタさんを信じていたのはいつまでだっただろう。

クリスマスは、誕生日よりも特別で、24日の夜はそわそわして眠れなかった。

朝、枕元にプレゼントを見つけると、琉生が必ずうちにやってきて、一緒にプレゼントを見せ合いっこしたりした。
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