余命38日、きみに明日をあげる。
けれどそんなことを言われるとは夢にも思わず、びっくりして息が止まりそうになってしまう。
びくっと大きく肩を上げた私に、琉生が慌てたように背中に手を添えた。
「どうした? 苦しい? 大丈夫?」
「ううん……ちょっと、びっくりしただけ」
「ごめん……」
「謝らないでっ……」
小さく呼吸を整える。
こんなに嬉しいことを言ってくれてるのに。頑張れ、私の心臓。
琉生の気持ちは心の底からうれしい。
私だって、琉生の気持ちにこたえたい。
「でも、私は……」
「その先は言わないで」
唇に、琉生の人差し指が乗せられた。
"ハタチまで生きられない私に恋なんてできない"
そんなニュアンスでいつか言った言葉。
そんなことは関係ない、そう言われている気がした。
「莉緒の素直な気持ちが聞きたいんだ」
私をまっすぐ見つめる琉生の瞳は、いつになく真剣だった。