余命38日、きみに明日をあげる。
きっと、私の鼓動も琉生に伝わっている。
そう思うと、少し恥ずかしくて……でも嬉しかった。
「何年も待ったんだから、もう待てない」
琉生はそのまま、私の唇にキスをした。
やさしく触れ合う唇。
ファーストキスは、レモンの味とかイチゴの味がするって言うけど、味なんてわからなかった。ただ、やさしくて温かかった。
「ふふっ」
「ははっ」
恥ずかしくて、おでことおでこを合わせて笑った。
温かくて、柔らかくて、すごく幸せな時間。
カーテンの向こうには、別の患者さんがいることなんて忘れて。
ただただふたりの時間が永遠に続けばいいと思った。
死ぬまでに、叶えたかった3つのこと。
それがすべて叶ってしまったとき、やっぱり私は死にたくないと思った。
大切なものを得た私は、また欲張りになってしまったのだ。