余命38日、きみに明日をあげる。
やっぱり違ったのかと軽く希望を失っていた俺に、次の日現れたのは。
「あれ? ナオ?」
ナオがひとりでやって来たのだ。
しかもひっそり現れるから、来たことにも気づかなかった。
「トーヤは?」
「えと、今日はべつの仕事が入ってまして……」
もごもごと口の中だけで話すナオは、やっぱり今日も様子がおかしい。
「仕事……?」
「はい……その、私たちはほかにも担当を持っていまして。先輩くらいになるといくつも掛け持ちをしています」
つまり、誰かの魂を運ぶということを指しているんだろう。
「そう……」
それは誰かの死を意味する。
決して明るい話でなく、それ以上触れるのはやめた。
「なあ、ナオ。この間から様子がおかしくないか」
それよりも、そっちの方が気になる。
トーヤみたいにテンションがもともと低い奴ならまだしも、ナオはその明るさがいい意味で死の神らしくなくてよかったのに。