余命38日、きみに明日をあげる。
「えっ、そ、そんなことないですよ」
言ってるそばから、顔がもう引きつっている。
大げさに手を振りかざし、大きい目をきょろきょろ動かして。
素直なやつこそ、嘘はすぐにバレる。
「隠したってバレバレなんだよ」
「えと……こ、この間受けた試験の結果が振るわなくて……」
へへっと笑って頭をかくが。
嘘だ。この間、トーヤが忘れて行った手帳を拾い上げた瞬間から、様子がおかしくなったのを俺は知っている。
記憶を巻き戻してみても、それまではいつものナオだった。
試験に落ちたとか、そんな理由じゃないはずだ。
あのとき、ナオは何かを見たはずなんだ。
もしかして……。
「莉緒の名前が薄くなっていたのは嘘だったのか?」
「え?」
「莉緒の願いが叶ったら文字が薄くなる。それは3つ目の願いが叶った時には莉緒の名前がリストから消えるってことだろう? ナオはあの日、トーヤの手帳で何を見たんだ?」
「……」
願いを叶えたら延命だなんて、嘘だったのだろうか。