余命38日、きみに明日をあげる。

「でも、よく考えてみたらおかしかったんです。ターゲットにしか死の神は見えないはずなのに、今回は莉緒さんではなく琉生さんに私たちの姿が見えていたこと。先輩がそうこともあるって言うから、私はすっかり信じてしまって……」

初めからおかしいと思うべきだったんだ。

ターゲットにしか見えないはずの死の神が、俺に見えること。

「じゃ、じゃあ……俺の余命は……あと、8日……?」

ゆっくり首を下ろすナオの顔は、すでに涙でぐちゃぐちゃだった。

「俺は……なんで、死ぬんだ……」

血の気が引いて全身が冷たくなり、震えて唇がうまく開かない。

「そこまでは、私にはわかりません……」

後退した足がベッドの枠にぶつかり、俺は倒れるようにしてベッドの上に崩れ落ちた。

突然自分に突き付けられた余命。

そんなの到底受け入れられるわけがない。

「すみませんっ……すみませんっ」

まるで土下座をするように、床の上でひたすら謝罪を口にするナオ。

「なんだよ……それ……」

体の震えが止まらない。

寒くて寒くてたまらない。

俺はベッドの上で震え、ただその現実におびえていた。
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