余命38日、きみに明日をあげる。
静まり返った誰もいない廊下は、休み時間よりもひんやりしているように感じた。それはトーヤがいるからなのか、どうなのか。
トーヤは、ただだまって俺を正面から見据えていた。
きっと、トーヤはすべてを把握している。俺が本当のターゲットだと知ったことを。
言いたいことはたくさんある。
でも何から話せばいいかわからないくらいにはまだ混乱している。
コートをひるがえして、トーヤが歩いていく。
……ついて来いとでもいうように。
俺はその後ろ姿を睨みつけながら後を追った。
迷いもせずにトーヤに導かれたのは屋上。
随分気温は低いはずだが、アドレナリンが出ているからか、まったく寒さは感じなかった。
相変わらずフードでよく顔が見えないトーヤ。いつものようにフードを目深にかぶり、スマートに佇む。それが余計に腹立たしい。