余命38日、きみに明日をあげる。
初めて目と目を合わせて交わされる言葉は、いつもより感情が伝わってくる気がした。
「お菓子を作ることも、パティシエの道を選択して父親と和解することも、倉木莉緒へ告白することもなかっただろう」
「それはっ……」
そんなことしてる余裕はなかったはずだ。
今のように、残された時間におびえ、全てに無気力になっていただろう。
「倉木莉緒の願いを叶えるために、必死に模索した結果、琉生は自然と3つの出来事を遂行した。それは、琉生の願いと相違はなかっただろう」
まるで、未来を予言していたかのようなトーヤの言葉に、俺は言葉を失った。
「倉木莉緒の願いは、すべて琉生が自分で行動を起こすことへつながるものだった。この期間で、琉生は倉木莉緒のことを考えていたようで、実は自分自身のことを真剣に考えていたんだ」
トーヤは、俺の目をまっすぐ見つめて言った。
「この1ヶ月、琉生は必死だったはずだ」