余命38日、きみに明日をあげる。
来年か……。
もう俺にはないんだ。親不孝な息子でごめん。
心の中で謝った。
イブ当日は日曜日。
俺は朝から莉緒のためにクリスマスケーキを作った。
莉緒の大好きな生クリームで全面を覆い、その上に粉糖をふりかけ、ふわふわな雪をイメージした二人用の小さいケーキ。
中には、イチゴを均等にスライスして挟み、どこを切ってもイチゴが出てくる仕様だ。
上にはサンタの飾りとチョコレートプレートものせた。
莉緒が喜ぶ顔が早く見たい。
この1ヶ月。
莉緒が死ぬと聞かされて、変わった俺自身が、俺を強くさせた。
トーヤの思惑通り、俺は死ぬ直前に本気を出したのだ。
死ぬのが怖くないと言ったら嘘になる。
でも、その先の希望は、莉緒の体が健康になるということ。俺の心臓で。
俺は、莉緒の中で生き続けるのだ。