余命38日、きみに明日をあげる。

莉緒も見慣れているbonheurのオレンジ色の箱。

「開けてもいいの?」

お菓子の箱を前にすると、子どものように目をキラキラ輝かせるのは、昔から変わらない。

どうぞ、と手でジェスチャーすると「うわ~ドキドキする~」と両手をすり合わせてリボンに手をかけた。

細くて白い手が、するするとリボンをほどいていく。

きっと、俺は莉緒以上にドキドキしているに違いない。……喜んでくれるだろうか。

「わあっ……!!!」

息をのむような感嘆が聞こえた。

口を開けたまま、引き付けられるようにケーキを見つめている。

よっしゃ! 心の中でガッツポーズ。

この瞬間のために、俺は作ったのだから。

「もしかして、琉生が作ったの……?」

「そうだよ」

「うれしいっ! ありがとう!!」

莉緒は、突っ立ったままの俺を手をぎゅっと握ってくる。その手をそっと握り返して俺は微笑んだ。
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