余命38日、きみに明日をあげる。
「琉生ー!!」
後ろから俺を呼ぶ声。
振り返ると、自転車に乗った陸乃進が手を振っていた。
俺の隣に来ると、キィィーとブレーキをかけて自転車をおりた。
「おっす。陸乃進にこんなとこで会うなんて珍しいな」
いつもはもっと早く学校に来ている。
「昨日、クリぼっち同士でクリパやったんだよ。遅くまで騒いで気づいたら2時だった」
「はあ? もっと早く気づけよ」
俺は笑った。
ここまで緊張しっぱなしで顔をこわばらせていたせいか、顔の筋肉が少し痛い。
「やべ~ねみぃ~」と、陸乃進は、眠たそうな目であくびをしながら自転車をカラカラと押す。
そして、うらやましそうな目を向けた。
「琉生は、莉緒ちゃんとクリスマスやったんだろ?」
「まあな」
まだ退院できない莉緒と、病院で1日過ごすことは伝えていた。
思い出せば、莉緒の笑顔しか浮かんでこない。
「いいよなあ、彼女持ちは」
たっぷり皮肉られたところで、ちょうど差し掛かった学校前の青信号が、点滅を始めた。