余命38日、きみに明日をあげる。
俺は体の奥底からトーヤの名前を呼び、こぶしを太ももにたたきつけた。
最後にトーヤに触れられた、手の感触が今でも残っている。
うそだろ。
どうしてそんなことを。
トーヤが死んだなんて、俺の代わりに死んだなんて……っ……。
「先輩は……本望だったと思いますっ……。あの日、私がリストを見た日。あれはわざと手帳を忘れて行ったんです。私が知ったら、きっと琉生さんに黙っていられないことをわかっていて。すべて願いを達成したうえで、本当のことを琉生さんが知るように。完璧主義の先輩が、何よりも大事な手帳を忘れるはずないですから」
トーヤの計算には続きがあったんだ。
そんなトーヤの策略に、俺は再び騙されてしまったんだ。
俺たちの願いまで、叶えて……。
どうして、どうして、どうして……っ!!
「先輩は、大馬鹿やろうですっ……」
それっきりナオは喋れなくなり、崩れるように地べたに膝をついた。