余命38日、きみに明日をあげる。
俺は歯を食いしばって天を見上げる。それでも堪えきれずに、嗚咽が漏れる。
「うっ……ううっ……」
初めて会った、あの寒い夜を思い出す。
莉緒の余命を宣告し、俺がトーヤの胸倉を掴んだ夜。
いきなり現れて何言ってんだって。ふざけんなって。
顔も見えなくて、何を考えているかわからなくて。
でも本当は、誰よりも俺たちのことを思っていてくれた。
そんなのって、あるかよ……っ!!!
「トーヤあっ……」
トーヤを思えば、無限に涙は止まらなかった。
だんだんと薄暗くなる談話室。
いつの間にか日は陰り、時計を見れば、莉緒の手術が始まってからもう6時間以上が経過していた。
未だ、ぺたんと床に座り込んだままのナオ。
ひくひくと肩を上下させている。
なんだかんだ、いいペアだと思っていたトーヤとナオ。
頼れる先輩を急に失ったナオの途方は果てしないだろう。