余命38日、きみに明日をあげる。
タイムカプセル
それから3年の月日が流れた。
心臓移植が無事に成功した莉緒は、リハビリを重ね、拒否反応もなく普通に生活できている。
制限のあった生活からも次第に解放され、運動もできるようになった。
短大を卒業し、この春から晴れて幼稚園の先生になる。
俺は大学3年生。時々、父さんの店を手伝っている。
「わあっ、満開だよ~」
俺と莉緒は、昔タイムカプセルを埋めた裏山に来ていた。
ハタチになったら開けようと約束したタイムカプセル。
無事にハタチを迎え、一緒に開けられることが心の底から嬉しい。
莉緒の誕生日は冬のため、温かくなってからがいいと思い、今日を選んだ。
ちょうど、桜の満開と重なった。
目印は、一番大きな桜の木の下だったはずだが……。