余命38日、きみに明日をあげる。
「この木だったっけ?」
莉緒がひとつの大木を指さした。
「多分そうだな」
「よかったね、山が削り取られて更地になってなくて」
「ああ」
子どものころはなにも考えずに埋めたが、そうなる可能性もあったわけで。
こうして昔ながらの裏山が今も存在することも、ひとつの奇跡に思えた。
今も、あの頃と同じように、たくさんの桜が綺麗に咲いている。
「琉生、なに入れたか覚えてる?」
「さあ……へんなおもちゃとか出てきそうで怖いわ」
「そんなこと言って、もらったラブレターを大切に保管してたりして!」
「まさか」
当時小3だ。どうせ、ガラクタしか入っていないだろう。
ラブレターは……入れてないと思う。
笑ながら、俺はスコップを土の中に入れた。
すると、しばらくしてカンッと何かにぶつかった手ごたえを感じる。
お菓子の缶に入れたはずだから、きっとこれに間違いない。