余命38日、きみに明日をあげる。
「うわっ……!」
「見せて」
「やっ、あっ!」
それは一等賞と書かれた、黄色い画用紙で作られた賞状だった。運動会でもらい、俺が莉緒にあげたものだ。
この缶に入れるのは、「宝物」だったはず。
「可愛い奴め」
大事なものとして、この缶に収めてくれたことが嬉しかった。
莉緒をぎゅっと抱きしめて頭を撫でまわす。
「も~、髪ぐちゃぐちゃになっちゃうよー」
莉緒のストレートの髪は相変わらずで、すぐにさらりと肩に落ちた。
昔と変わらないこんなやり取りひとつに、幸せを感じる。
莉緒が再び袋の中に視線を落として。
「あれ? これはなんだろう?」
取り出したのは、メモ用紙だった。
「友達との手紙じゃないの?」
「あっ……!」
莉緒が紙を開いて息をのんだ。
そこには──
『ずっと見守っているよ。君が天使になる日まで』
「なくしたと思ってたのに、こんなところに入れてたなんて……」
口に手を当てて、みるみるうちに瞳に涙がたまっていく。
3年前、莉緒の病室で死の神の話を聞いたときに言っていた手紙だとすぐにわかった。