余命38日、きみに明日をあげる。

……トーヤ。

これはトーヤが書いたんだな。

アキちゃんが亡くなった時に莉緒に送ったメッセージだが、それは今の俺たちにも響く言葉だった。

『ずっと見守っている』

その言葉通り、トーヤはずっと莉緒……俺たちのことを見守っていてくれた。

そして、今でも莉緒の一番近くで見守ってくれているはずだ。

莉緒が、優しく口を開く。

「……手術中に見た夢にの中に、死の神さんが出てきたの」

秘密を打ち明けるように。

「いよいよ私は天使になれるのかと思ったら、君はまだ天使にはなれないよって。しばらくは会えないからって、それだけ言って消えちゃった。そしたら、目が覚めて……そこに琉生がいてくれた」

手術が成功したと聞いて、俺は莉緒が目を覚ますまでずっとそばにいた。

目を開いたときは、不覚にも号泣してしまったが。

「もう、話してもいいよな」

誰にともなく、俺はつぶやいた。

信じてもらえると思ったんだ。死の神の存在を知っている、莉緒なら。

「莉緒、大事な話があるんだ」

いつか話そうと思っていた、トーヤとの38日間の出来事を。

莉緒は驚きに満ちた顔を見せたが、一度も口を挟まず、じっと俺の話に耳を傾けてくれた。
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