余命38日、きみに明日をあげる。
延命の方法
風呂を出て、二階へあがろうとしたところで、仕事から帰ってきた父さんと玄関の前でばったり会った。
おかえり……喉元まで出かかった言葉を飲み込む。
そのままくるりと体の向きを変え、俺は階段を上って行った。背中に、父さんの視線を感じながら。
父さんと口を利かなくなったのは、中学2年生のころ。
俺がパティシエになると疑っていなかった父さんに、「医者になりたい」と告げてからだ。
俺が医者になりたい理由なんか、すぐに見抜かれた。
もちろん、長年病気と闘う莉緒をそばで見ていた父さんは、俺の真剣な気持ちを分かったうえで、それでもパティシエになってほしいと言った。
お互いの気持ちは一方通行で。
顔を合わせれば、ケンカばかり。
話し合いにもならず、やがて、父さんはあきらめたかのように何も言ってこなくなった。会話そのものがなくなってしまったんだ。
おかえり……喉元まで出かかった言葉を飲み込む。
そのままくるりと体の向きを変え、俺は階段を上って行った。背中に、父さんの視線を感じながら。
父さんと口を利かなくなったのは、中学2年生のころ。
俺がパティシエになると疑っていなかった父さんに、「医者になりたい」と告げてからだ。
俺が医者になりたい理由なんか、すぐに見抜かれた。
もちろん、長年病気と闘う莉緒をそばで見ていた父さんは、俺の真剣な気持ちを分かったうえで、それでもパティシエになってほしいと言った。
お互いの気持ちは一方通行で。
顔を合わせれば、ケンカばかり。
話し合いにもならず、やがて、父さんはあきらめたかのように何も言ってこなくなった。会話そのものがなくなってしまったんだ。