余命38日、きみに明日をあげる。
それにしても、今日はやけに冷え込む。
体の芯まで冷えるっていう表現がぴったりだ。
さらに急激に部屋の温度が下がった気がして、毛布を胸元までかける。
──と。人の気配を感じた。
つい昨夜、莉緒の病院で変な男に会った時と同じような感覚。
そもそも、あれは夢じゃなかったのだろうか。
手に持った調査票に影が落ちた気がして、視線をずらすと──
「うおおおおおっ!」
俺はベッドの上で飛び跳ねた。
なんだ!? なんなんだ!?
ベッドの脇にたたずむ、黒い塊。
まだ新しい記憶に刻み込まれているその姿に、それが何なのかはすぐに分かった。
病院で会った『死の神』とかいう男だ。間違いない。
「……どっから入ってきたんだよ」
こんな寒い夜に窓なんか開けていないし、なんならカーテンだって閉めている。部屋のドアも、しっかりしまっている。
その事実に、背筋が凍る思いがした。