余命38日、きみに明日をあげる。
彼女にも、死の神と同じプレートが胸元にあり。70と記されていた。自分でも「第70番」と言っていたが、それが名前なのだろうか。
「なあ、あんたたちには名前がないのか?」
「ない。すべて番号で整理されている。番号に意味はなく、空きが出たら次のものがその番号を引き継ぐだけだ」
「前世の名前は?」
「知らない」
男はキッパリ言った。前世になんて、まるでみじんも未練がないかのように。
それとも、記憶がないんだろうか?
俺は、男の胸についている108と書かれたプレートをじっと見つめる。
「トーヤ……」
ふいに、口から零れた。
「……なんだ?」
「108番だからトーヤ、そして、アンタは、70番だから……ナオだな」
ただの語呂合わせだが、ちょうど名前になることに気づいたのだ。
「ナオですか!?」
70番……ナオは「かわいー」と、喜びにはしゃいだ。