余命38日、きみに明日をあげる。
ふふっと笑うと、琉生はイヤホンを外しながら面白くなさそうに口をとがらせて、わしゃわしゃと私の頭を撫でまわした。
「あー、髪の毛ぐしゃぐしゃになっちゃうよ~」
なんて言いながら、こうされるのは大好きだったりする。
何年も体に染みついたこの動作には、安心感しかない。
「いいだろ、莉緒の髪はどうせサラサラなんだから」
「そうだけどさー」
琉生の言う通り、私の髪はクセひとつないストレート。
巻いても、すぐに取れてしまうほど。
もっとアレンジできる髪質が良かったと言ったら、くせ毛に悩んでいる親友の一花には贅沢だと言われた。
高校までは歩いて15分。これも、私が学校に通うための最低条件だった。
満員電車の通学なんて危険でしかない。
とにかく、家から近い学校に通わなくてはならない私には、進路なんて初めから決まっていたようなもの。