余命３８日、きみに明日をあげる。

幸い近所の東高はレベルが中堅だったため、私の学力でも合格できた。

同じ中学からも志望する子もたくさんいた。一花も同じく。

ただ、琉生が東高を受験すると言った時は驚いた。

医者を目指している人が、東高に行くなんて聞いたことない。

もっと遠くの進学校に行くと思っていた。

『電車通学とかだるいし』
　
琉生はそう言っていたけど、私には分かっていた。
　
私が東高に行くからそうするのだと。
　
毎朝、こうして並んで登校していることが、それを物語っている。　

琉生はどこまでも私を優先する。自分の大事な進路でさえも。

それは嬉しくも、時に申し訳なくも思えた。

お父さんと約束したパティシエの夢までなげうって医者になると言った時は、正直焦った。

それでも、すべてを分かっていながら、もっと上のランクの高校を勧めなかった私は、ずるいのかもしれない。