余命38日、きみに明日をあげる。

「また病院に来てくれたんだってね、ありがとう」

「……べつに」
 
さらりと揺れる髪に、少し目にかかる長めの前髪。
 
この角度から見上げる琉生は同級生とは思えないほど大人びていて、ドキドキする。

琉生は少し照れたように鼻の頭を人差し指でかいた。

「ずっとロビーにいたんでしょ? 寒かったよね。風邪ひかなかった?」

「俺が風邪ひいたの見たことあるか?」

「ない!」
 
得意げに私に目線を下げる琉生は、小学校中学校ともに皆勤賞だった。
 
たまには熱でも出して、休みの日にしか見れない昼間のテレビ番組を見てみたいなんて言ってて笑ってしまったっけ。

「なんとは風邪ひかないっていうもんね?」

「それ、どーゆー意味だよっ」

「あははっ!」
 
こうやってくだらない話をしている時間がとても幸せ。
 
琉生の彼女にはなれなくても、私は十分幸せなんだ。
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