余命38日、きみに明日をあげる。
「そういえば聞いたよー。1組の広井さんに告白されたんだってね。どうするの?」
「どうするって?」
「つき合うの?」
「つき合うわけないだろ」
当たり前のように吐き捨てると、琉生は少し歩幅を早めた。
いつも優しい琉生も、この手の話になると、とたんに機嫌が悪くなるのだ。
「もったいなぁい」
少し前を行く琉生に、私のつぶやきが届いたかは分からない。
ルックスよし、性格よし、頭よしの琉生は、当たり前だけど相当モテる。
でも彼女を作らないのは、私のせい。
私を守るという使命が、琉生にはあるのだと思う。
あのときのことが原因なら、悔やんでも悔やみきれない。
私は……琉生に告白なんてできない。
だって、普通に考えたらハタチまで生きられない人となんてつき合えるはずない。
優しい琉生のことだから、私をかわいそうだと思って、気持ちを受け入れてくれるかもしれない。