余命38日、きみに明日をあげる。

やり取りを聞きながら、私は首をかしげた。 

調査票……? 進路調査票のこと?

先週、進路希望調査があった。

将来のことを決めないといけないなんて正直つらいけれど。

私は無難に短大進学と書いておいた。

行けるかも分からないのに。

行けたって、その後なにも役にたたないかもしれないのに。

けれど琉生は違う。どうしてまだ出してないんだろう。

期限は先週末だったはず。医者を目指しているなら、医学部に決まっているだろうに。

「お、倉木。もう大丈夫なのか?」
 
ここでようやく私に気づいたのか、川崎先生の気と視線が私に流れた。

病気のことは、学校の一部の先生だけが知っている。

もちろん、担任である川崎先生もそのひとりで、いつも気にかけてくれている。

「はい。ご心配をおかけしました」 

「なにかあれば、すぐに言ってくれ。無理するんじゃないぞ」
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