余命38日、きみに明日をあげる。

昔から琉生とおじさんのお菓子作りを見ていたから、憧れもあったし。

部員も10人くらいで、こぢんまりしているのもいい。

「これね、今度の活動で作るお菓子のテーマ。大切な人へのお菓子だって!」

歩美ちゃんは1枚のプリントを渡してくれた。

昨日はちょうど活動日だったから、そのときに配られたのだろう。

毎回、何かしらのテーマに沿ってお菓子を作っているんだけれど、次回のテーマは、「大切な人に贈るスイーツ」らしい。

「大切な人……」
 
一番に浮かんだのは琉生。

私が琉生にお菓子を作ったら、どんな顔をするだろう。

作ってもらったことは何度もあるけれど、私は手作りに自信がなく、バレンタインにはお店で買ったチョコを渡していた。もちろん、義理として。

驚く琉生の顔を想像していると、目の前の歩美ちゃんが目を見開き、頬を赤く染めた。

そして、ソワソワと落ち着かなくなる。
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