余命38日、きみに明日をあげる。

その直後、うしろから聞こえた低い声。

「ちょっと通して」
 
ドアの上に両手をついて、私をのぞき込んでいたのは琉生だった。

「わっ、ごめん」

ドアをふさぐように立っていた私。

背後から覆われるような格好になっていて、私はぴょんと横にずれた。

「さんきゅ」
 
琉生は私、それから歩美ちゃんにも目線を投げると、教室を出て行った。

身長が高く手足が長い琉生は、後ろ姿でさえもカッコよく、独特なオーラを放っている。

ゆったりと歩く後ろ姿を眺めていると。

「わぁ、びっくりしたぁ」
 
歩美ちゃんが、頬をそめたまま肩をすくめてクスッと笑う。
 
……歩美ちゃんは琉生のことが好きなのだ。

歩美ちゃんは琉生を目の前にすると、途端に真っ赤になってしまう。

打ち明けられたのは、仲良くなってすぐ。

『あのね……』と、やっぱり頬を染めながら。
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