余命38日、きみに明日をあげる。

自転車通学の歩美ちゃんは、入学して早々自転車のカギをなくしてしまったみたい。

自転車置き場で困っているところに、琉生が通りかかり『どうしたの?』と声をかけ。

カギを一緒に探し、植え込みのところに落ちていたのを見つけてくれたんだとか。

困っている人がいると放っておけないところ、琉生らしい。

「ねえ、私大丈夫だったかな?」
 
歩美ちゃんは不安に揺れる声でポケットから鏡を取り出した。

顔をチェックして、さらに不安そうに眉根を下げる。

そんな姿は、完全に恋する乙女。

「うん、可愛い可愛い。大丈夫だよ!」
 
最初は私のことを、琉生の彼女だと思って警戒していたみたい。

恐る恐る『佐久間くんの彼女なの?』と聞かれて、ただの幼なじみだと告げたら、すごくホッとした顔をされた。
 
歩美ちゃんは人見知りなところがあるけれど、とっても心の優しい子だから、琉生が歩美ちゃんとつき合ったらいいなあと思っているんだ。
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