余命38日、きみに明日をあげる。

そうじゃないと、お店に行きにくから。

おばさんもそれをわかってくれて、ちゃんとお会計をしてくれる。
 
それでも、度々焼き菓子やケーキを家に持ってきてくれるからなんだか申し訳ない。

賞味期限が近いからなんて理由をつけてくれるけど、おじさんのお菓子は期限内に売り切れてしまうし、それは気を使わせないように言ってくれているだけなのは知っている。

「今日は、退院した自分へご褒美なんです」

「あらー。ご褒美にうちのお菓子を選んでくれるなんて嬉しいわあ」

「だって、おじさんのお菓子、本当においしいから」

「うふふ。莉緒ちゃんてほんとにいい子ね」
 
そんな話をしていると、奥の厨房からおじさんが顔を出した。

「莉緒ちゃんいらっしゃい、いつもありがとね」

「おじさんこんにちは!」
 
おじさんは背が高くてダンディでとてもカッコいい。

行事などでスーツをパリッと着こなして学校に現れると、周りがざわめく程度には。琉生はおじさん似だ。
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