余命38日、きみに明日をあげる。
小学校の卒業文集には、将来の夢にパティシエと書いていたのに、中学の卒業文集には、医者になりたいと明確にその思いが記されていた。
テレビドラマを見て医者にあこがれたなんて言っていたけど、そんなのは嘘だ。
発作で入院して泣いている私に、
『俺が絶対に莉緒を治してやるからな』
使命感にあふれた瞳で、そう言ってくれたんだから。
ものすごくうれしかった。……けど。
私のせいでおじさんと琉生の約束が守られなくなるのかと思うと、やっぱりフクザツだった。
お店を出ると、すっかり日は落ちていた。
少し肌寒く、ブレザーの襟元をぎゅっと握りしめながら、ケーキが崩れないように大切に箱を抱えて歩く。
家の前までくると、部活帰りの琉生にばったり会った。
「よお」
部活の青いジャージを着た琉生が軽く手を挙げる。