余命38日、きみに明日をあげる。

つやつやのチョコレートでコーティングされたケーキの上には、金粉がちりばめられていてヒイラギの飾りが乗っている。

もうひとつは、ピンク色のドーム型のケーキに、ベリーソースがかけられている。パラパラとかけられている粉糖は、雪をイメージしているようで可愛い。

どちらも、クリスマスにピッタリ。

「食べるのがもったいないなぁ」
 
私はスマホで何枚も写真を撮った。角度を色々変えながら。

私に写真のセンスはないけど、被写体がいいから、映えもバッチリなはず。後でインスタにあげよう。

あ、でもまだ試作品だから出したらダメか。発売されたら載せよう。
 
「こんな時間にケーキなんか食って、晩メシ食えなくなるぞ?」

ウキウキワクワクしている私に、水を差すような声。

私はむっとして言った。

「甘いものは別腹なのー。いただきまーす」

琉生はなんだかんだ言いながら、紅茶を用意してくれた。

私好みに、お砂糖1本とミルクも添えて。

「ありがとう」

「どーいたしまして」

「琉生も食べる?」
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