余命38日、きみに明日をあげる。
父さんの菓子を美味しそうに食べる莉緒を見るのも好きだったのに、今はそっけない態度をとってしまう。
それでも莉緒が俺の前で食べるのには、莉緒なりに意味があるんだと思う。
父さんと仲たがいしているのを、どう思っているんだろう。
bonheurを継がないと言った俺を、どう思っているんだろう。
考えたらキリがない。
風呂を済ませ、自分の部屋で課題をしていると、
「ただいま」
仕事から帰ってきた母さんが、俺の部屋に顔をのぞかせた。これはもう日課みたいなものだ。
「お疲れ」
「今日、莉緒ちゃんがお店に来てくれたわよ。またお菓子をたくさん買っていってくれて」
「みたいだな。その足でここに来た」
「あらそうだったの」
母さんも思うところはあると思うが、俺に考えを改めるようなことは言ってこない。
琉生の人生は琉生のものだと、俺の選んだ道を尊重してくれている。
今の俺と父さんの関係については悪いと思っている。
でも、俺にも意地があるんだ。