余命38日、きみに明日をあげる。
「……なるほどな」
「ね、これは行くべきですよ!」
表情の読み取れないトーヤとは違い、フードを完全にめくり、コロコロと表情を変えるナオは、とてもじゃないが死の神だなんて思えない。
その辺に居そうな中学生だ。
「フードをかぶれ」
死の神は素顔を見せてはいけないのか、トーヤがナオをたしなめる。
「……はあい」
ナオは唇を尖らせ、フードをかぶりなおした。
「……はあ……」
トーヤがため息をつきたくなる気持ちもわかるが、俺にとってはこっちのほうが都合がいい。
同じ敵でも、協力する姿勢を見せてくれるだけありがたい。
半信半疑だったが、その誘いに乗ることにした。
とりあえず、片っ端からやるしかない。
「今度の日曜日だな。わかった、莉緒を誘ってみるよ」
これが莉緒の叶えたい願いなのかもしれないのだから。