余命38日、きみに明日をあげる。

「……なるほどな」

「ね、これは行くべきですよ!」
 
表情の読み取れないトーヤとは違い、フードを完全にめくり、コロコロと表情を変えるナオは、とてもじゃないが死の神だなんて思えない。

その辺に居そうな中学生だ。

「フードをかぶれ」

死の神は素顔を見せてはいけないのか、トーヤがナオをたしなめる。

「……はあい」

ナオは唇を尖らせ、フードをかぶりなおした。

「……はあ……」
 
トーヤがため息をつきたくなる気持ちもわかるが、俺にとってはこっちのほうが都合がいい。

同じ敵でも、協力する姿勢を見せてくれるだけありがたい。
 
半信半疑だったが、その誘いに乗ることにした。

とりあえず、片っ端からやるしかない。

「今度の日曜日だな。わかった、莉緒を誘ってみるよ」
 
これが莉緒の叶えたい願いなのかもしれないのだから。
< 82 / 288 >

この作品をシェア

pagetop