余命38日、きみに明日をあげる。
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日曜日。サクラのことは告げずに、莉緒を連れ出すことに成功した。
家の前で待っていると、莉緒はベージュのファーニットにサーモンピンクのショート丈のコートを合わせ、足元は黒のロングブーツで現れた。
胸元には、シルバーのネックレスが揺れ、ハーフアップにした耳元から覗くのは、揺れるイヤリング。
……すげえ、可愛い。
一緒に出掛けるなんて、デートだと思われたら困るからイヤと言われたらどうしようかと思ったが、それは杞憂に終わった。
『いいよー、暇だし』って。
所詮俺は暇つぶしか……。
電車に乗り目指すのは、普段は行くこともないような都会のど真ん中にある大型書店。
さすが人気モデルだ。田舎の小さい書店でサイン会なんてやらないよな。
わかってはいたが、場所を確認して漏れた第一声は「マジかよ」
11月も下旬。気温もグッと下がり、街路樹もかなりスカスカになってきた。