余命38日、きみに明日をあげる。
こんなガチガチな莉緒、初めて見た。
「いいえ、どういたしまして」
サクラが微笑めば、またそれにノックアウトされてしまいそうだ。
俺は、このチャンスを逃すなとばかりに肘で莉緒を小突いた。
はっとした様子の莉緒は、
「あああ、あのっ、わ、私、ずっとサクラさんに憧れてて、その……」
しどろもどろに何とか口を動かす。
「ありがとう。あなたみたいに可愛い子から憧れられるなんて、本当にうれしい。これからも応援よろしくね」
サクラは莉緒の手を取ると、両手で包んだ。
「は、はいっ……」
「あっ、もしかしてサイン会に参加してくれたの?」
サクラが指さす莉緒のカバンからは、さっき買ったばかりの写真集が半分飛び出していた。
予定外の大きな本の買い物には、カバンが小さすぎたのだ。
「いえ……参加はできなかったんですけど、以前から大ファンなので、買わせてもらいました」