ありきたりの恋の話ですが、忘れられない恋です
「あら、ノン、お姉さんみたいよ」
「のあちゃん、素敵よ。早くドレスを着てみて」
お姉さんみたいって、もう25歳ですけどね…
「ありがとうございます。結菜ママもそのお着物お似合いで素敵ですよ」
「あら、ありがとう。お世辞でも嬉しいわ」
細身の結菜ちゃんと似て、すらっと背の高い綺麗な叔母さまなので、お世辞ではない。
うちの母は、真逆でよく言えば着物が似合う体型でどっしりとして貫禄がある。
私はと、期待に満ちた目で見てくる母にも「ママも、似合ってるよ」と返した。
私と母達と場所をチェンジして、私はドレスに着替え、母達はヘアメイクを初めてもらい、鏡越しに、結菜ママと目が合った。
「そのドレスにピッタリのヘアメイクね。さすがプロですね」
ヘアメイクを担当する女性に、にこりと笑い褒め称える結菜ママ。
うちのママといえば、「そんなひらひらのドレスにしないで、振袖を着て欲しかったのだけどね…」
家に帰ってから何度も聞いた小言…
「もう、当日にまで同じこと何回も言わないでよ」
「今時の若い子は、みんなドレスらしいわよ。私も、のあちゃんぐらいの歳に戻れるなら着てみたいわ」
「そんなものなのかしらね」
納得できない顔だが、結菜ママが賛成する以上、これ以上は何も言えないらしい。