ありきたりの恋の話ですが、忘れられない恋です

「初めまして。淳弥の友人の海堂です。結菜さんとは、淳弥を通して仲良くさせてもらってました。久しぶりに会う友人の晴れの日に出席させていただいて嬉しいです」

「…こちらこそ出席していただき、ありがとうございます。結菜とも顔見知りってことは、今日は、あなたしか知らない暴露話なんて聞かせてもらえるのかしら?」

結菜ママの茶目っ気ぷりに、晶兄は「お望みなら友人代表のスピーチで披露させていただきます」

「ふふふ、お願いするわ」

「結菜ちゃんを長い間待たせてしまった淳弥を、困らせてやって」

「ええ、任せてください」

スピーチが楽しみだと言いながら、晶兄とまた後でと挨拶を交わし、歩いて行く2人の影を追った私の手を掴んだ晶兄。

「ノンちゃん、久しぶりなのに挨拶もないってことはしないよね」

うっ…(まだ、覚悟できていないのに。)

「…晶斗さんお久しぶりです。今日は、お兄と結菜ちゃんの結婚式に来てくれてありがとうございます。まだ、式まで時間あるので、ゆっくりしていてください」

視線をずらし、早口で捲し立てその場を早く離れたかった。

じゃあと、手を振り解こうとしたが振り解けない。

「他人行儀すぎないか?」
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