ありきたりの恋の話ですが、忘れられない恋です
(じゃあ、どんな挨拶がいいのよ)とムキになり、彼の目を見て言い直した。
「晶兄、お久しぶり。元気だった?そういえば、結婚したんだっけ⁈遅くなったけど、結婚おめでとう」
「…ちょっと話しないか?」
やっぱりか…と呟いた声が聞こえた気がするけど、感情が高まっている私には、どうでもいいことだった。
晶兄を前にすると、平静さなんて装うこともできない。
まだ、好きなのだ。
でも、そんな自分を気づかれたくない私は、「今は忙しいから」と、バレバレの嘘をついた。
「…そうか。なら、今は逃してやるけど、後でちゃんと話そう。逃げるなよ」
逃げる気満々で、頷く私に気がついてるだろう晶兄は、「逃げても、今度は追いかけるからな」と言い残し、友人達の輪に戻っていった。
なんの話をするつもりなのだろう?
今のお互いの現状報告とか?
そんなのは虚しさしかない。
隣街まで戻ってしまえば、お仕置きなんてできないだろうと思い、逃げ切ることを選んだ私だった。
天気もいいことから、お兄達のガーデンチャペルでの式は、とても素敵だった。
難をいえば、親族席の後ろに晶兄が座り、落ち着かなかったことぐらい。