ありきたりの恋の話ですが、忘れられない恋です

披露宴会場では友人席と親族席が離れていたおかげで、2人が登場するまで彼を視界に入れることはなかったが、友人代表スピーチで立つ晶兄を、ガッツリと見てしまった。

やっぱり、かっこいい。

低音で落ち着きある話し方は、相変わらず変わらない。

会場内の若い女性は、彼の外見と声に心を奪われている様子だった。

「淳弥くん、結菜さん並びにご両家の皆様、本日は誠におめでとうございます。この場に立ち、お二人をお祝いすることができ、とても嬉しく思っています。淳弥くんとは、中学からの友人です。そして、結菜さんとは僕らは高校で同級生として知り合いました。その2人から招待状を頂き、当時の2人の仲を知ってる僕が最初に思ったのは、まさか、あの2人が夫婦になるなんてという驚きでした。僕としては、いつからお互いに惹かれ交際し始めたのか知りたいところです。なぜなら、僕が知ってる2人は、当初から犬猿の仲だったからです。友人の僕にも内緒で年齢の3分の1以上も愛を育んでいたのです。親友として内緒にされていた事は今もショックですが、僕は、お2人の幸せを心から祈っております。そして、近いうちに家族ぐるみでお付き合いができる日を楽しみにしています。簡単でございますが、以上で友人代表スピーチを終わらさせていただきます。この後の2人の馴れ初めを皆さんで楽しみましょう」
< 17 / 73 >

この作品をシェア

pagetop