ありきたりの恋の話ですが、忘れられない恋です
いや…そのドレスを選んだ本当の理由は、兄の親友である晶兄と3年ぶりくらいに会うからだ。
きっと、歳を重ねて3年前よりイケメン度が上がっているだろう。
そんな彼に、自分はもう大人の女だと…
もう、過去の出来事に縛られていないと…
少しでもいい女になったな…ぐらい思わせたい。これが本心なのだが、そう思う時点で、まだ彼に心は囚われているなんて認めれない私は、違う、違うとおもいっきり首を左右に振っていた。いつまでも降りてこない娘に痺れを切らした母が、部屋のドアを乱暴に開け大声をあげた。
「今日は、お兄ちゃんの結婚式なのよ。忙しいんだから、いつまでもゴロゴロしてないで起きなさい」
「うるさいな…起きてるって」
「ノンも、向こうでヘアメイクしてもらうんでしょ!準備できたら出るわよ」
「…わかった」
ドアを閉めずに下に降りて行く母にムッとしながら、立ち上がってドレスを撫でた。
兄を祝う気持ちは忘れていないが、これは今日の私の戦闘服だ。
隣県での就職先が決まり、新しい生活に夢見てたあの頃の私は舞い上がっていた。
なんの自信があったのか⁈
晶兄に振られるなんて微塵も思っていなかったあの頃の私を葬ってしまいたいが、過去は変えられないのだ。