ありきたりの恋の話ですが、忘れられない恋です

あの頃から、私の恋愛は先に進めていない。

だから、今日…彼に会ってケリをつける為に戻って来たのに、あんな夢を見たのは、お兄が結婚するからだ。

思い返せば、6つ歳の離れた兄(淳弥)の親友、晶斗と初めて会ったのは、私が、まだ小学生だった頃。

家に遊びに来る兄の友人達の中で、一際目立つ容姿は、当時、憧れていたアイドルのように眩しかった。

今思えば、一目惚れだったに違いない。

彼は親友の妹って事で私を見かける度に、ノンちゃんと呼び、よく声をかけてくれた。

だが、まだ、恋のこの字も知らない幼い私は、彼を心の中で王子様と呼び、ドキドキして顔を真っ赤にさせるだけだった。それを、兄やその他の親友に揶揄われるので、遠くもなく近くもない距離で彼をチラ見できるだけで満足していた。

中学にあがり、恋だと自覚した時には、頻繁に遊びに来ていた彼や、その他の親友達は、大学生になっていて、サークルだとか飲み会だとかで、兄自体も家にいる頻度が減り、顔を見なくなった。珍しく家にいた兄に、思わず『まさ兄と喧嘩したの?』なんて、突拍子もない事を言ったりしたっけ!

兄は、一瞬、何言ってるだと顔をしかめた後、突然、ニヤニヤして、『にいちゃんに任せろ』と胸を叩いたのだ。
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